金木犀

雨降り朝 ため息 草臥れたシャツ
ビニール傘越しに見る景色も滲む

君と過ごした
あの街もあの部屋も
ずっと遠くに
なってしまったなぁ

二度と戻らない日々
いつか忘れていくのかなぁ
ずっと離れない様に
握ったその手の温もりさえも

さよならも言えずにただ俯いた
柔らかな頬を伝う雫


ふたり歩いた
あの街のあの道で
僕のもとから
離れてく君の影

伝えきれぬ想い 
どんな言葉で表せばいい
君の名を呼ぶけど
掠れた声が空に溶けるだけ

二度と戻らない日々
僕は忘れてゆくのだろう
強く抱きしめた
君の体 その熱さえも
   

カルピス

通い慣れた退屈な帰り道も
君がいるだけで
やけに綺麗だ

日に焼けた二つの肩が
触れ合いそうになるたびに
破裂しそうさ

気づいてないだろう
あの時君のことを
思わず抱きしめそうになった

あぁもうこれ以上
困らせないでくれ
君の事しか考えられないよ
一度だけでいい。
僕だけのものになってくれたら
他には何もいらない

燦々と照りつける太陽が
僕の事まくしたて
行けと叫ぶよ

迷いなんか一つもないのに
言葉だけが出てこない
非常事態だ

知らなきゃよかった
大事な人の話
思わず逃げ出しそうになった

帰らぬ日々を想い歌うよ
あの時君は何を見ていたの
一度だけでいい
僕だけのものになってくれたら
他には何もいらない

だめだとわかっても
想い続けてしまうのは
サガなのか

大事に抱えて
胸の奥底に追いやるなんて
できそうにないから

ツラくとも
苦くとも
君の中迷い込む

あぁもうこれ以上
困らせないでくれ
君の事しか考えられないよ
一度だけでいい
僕だけのものになってくれたら
他には何も
正直言うとさ
いつまでも
あぁ

 

 

 

 

憂鬱の三日月

君と僕の音が重なって
ワンフレーズ トゥーフレーズ
空に浮かぶ三日月も歌い出す 踊り出す

カクテルの名前は忘れちまったけれど
この鼓動のリズムだけが僕のリアル

フロアの真ん中 世界の中心
二人だけのネバーランド

さらば、愛しき日々の思い出、残骸。
闇に揺れる人影をそっと送り出す

遥か遠くに煌く街の灯りが
全部消えたって 僕には君が見える
                       
孤独が僕を覗き込んでも
お決まりのステップ踏んで

優雅に すっと胸が滲んだ
憂鬱を 讃える 通り雨
歪にぎゅっと抱き合ってしまえば
僕らひとつになれるよ

GREED

愛想笑いでいい
ただやり過ごすだけの日々

ウンザリするような柵に溺れ
雑踏の中このまま消えていってしまいそうなんだ

感情の赴くまま叫べ
壊れる少し手前くらいが丁度いい

嘘みたいな言葉並べて
クソみたいな言い訳の日々

ウンザリするような退屈にやられ
夜の闇にこのまま溶けていってしまいそうなんだ

欲望の赴くまま踊れ
もうどうなってしまってもいいさゆこう

街灯の明かりが深い影僕に落とす

絶え間なく溢れ出すメロディ
真夜中の旅の始まりだ
欲望の赴くまま踊れ
もうどうなってしまってもいいさゆこう

 

115

生まれた時はチヤホヤもてはやし
電池が切れりゃ代わりのニューモデル

憧れていた人間様
何が違うの?教えてよ

1と0のタマシイが
何色でもかまわない
壊れかけたハートに火を灯せ

今じゃ用無し棄てられ独りきり
このまま朽ちていつかはスクラップ

このままでいいの?
まだ見えない
探しにゆくよその先を

何があるわけでもない
何者でも構わない
壊れかけたタマシイを放て

1と0のタマシイが
何色でもかまわない
壊れかけたハートに火を灯せ

焼きつく程一瞬を
閃くだけの光を
壊れかけたタマシイに宿せ

 

走り出す

何も見えなくなって
笑い方も忘れて
俯き映り込む
水溜りの中の

消えそうで泣き出しそうな
僕の目を
地を打つ雨が
一瞬で掻き消す様に

誰だって怖がって
逃げ出したい事にだって
強がって擦り減って
どれだけ傷つき足が竦んでも
まだ行けるって
聞こえてくるその声を
信じて踏み出して
何度転んでも
立ち止まらぬ様に

走り出した僕の目は
疑うこともなくて
一歩ずつ確かめて
真っ直ぐ前を見て

どれだけ
向かい風に吹かれても
刻まれた記憶も
痛みも引き連れてく

駆け出して飛び込んだ
深い闇が迫っても
ダメだって振り切って
降り続く雨の終わりまで
前へ ただ前へ
吹き荒れる風を裂いて
抗って闘って
何度転んでも立ち上がれるように

どれだけ逃げたって
何も変わらないのなら
影なんて消し去って
しゃがみ込む僕に別れを告げて

駆け出して深い闇走り抜けて
雨なんて追い越して
どれだけ傷つき足が竦んでも
まだ行けるって
聞こえてくるその声を
信じて踏み出して
あの虹飛び越えて臨む世界へ

つちのこ

周りを見渡してみれば
おばけだって見えるだろう
世界を歩き回れば
つちのこだって会えるだろう

でもって君を探しに行くんだ
おばけがつちのこが
導いてくれるから

君を感じるよ
そばにいるのでしょう
響きあうその日まで
二人でかくれんぼ
君と僕の目にお互いの姿
見たままよりももっと
映るその時まで

涙のフィルターを通して
映る景色は歪んでいて

でも僕の好きな
フィルターを通して
見ても見づらいのに
変わりは無いけど

幽体離脱して
自分を見てみれば
どっちが前だか
わからないくらいに
泣いているのでしょう
笑っているのでしょう
遥か向こうに君を探しながら

君にだって会えるだろう

君を感じる
どこで会えるだろう
今君はどこでどんな顔をしてるの
明日も生きてゆこう
君に生きてゆこう
遥か向こう側の
君と手を取り笑い合うまで